元外資系投資銀行マンのひとり言

グローバルな金融プレイヤーになりたかった。。

外資金融用語辞典①「コンプ」

この記事を読んで下さる方ってどんな方がいらっしゃるのでしょう。既に外銀にお勤めの方、これから外資金融の世界を覗いてみたい方など、、少しでも色々なステージの方のお役に立てればと願っておりますので、筆者としても試行錯誤しながら「外資金融用語辞典」を展開していければと考えております。

 

第1回目は「コンプ」について書いていきます。

 

20年ほど前に初めての転職をしたことは先に述べたのですが、転職=新しい職場との条件交渉なわけです。極めて高いポジションの移籍では交渉ポイントも多岐にわたり、時に国をまたいでのリロケーションを伴う場合は住居費用や子女の教育のための支出、医療費の取扱なども取り決めが必要になるのですが、一般的な転職の場合に論点になるのはポジション(タイトル)と給与水準ということになるでしょう。大体の場合はポジションによってベースサラリーのレンジが決まってくると思われますが、人材市場の需給環境や前職での給与水準によって交渉の余地は当然あります。大前提として、まともな日本企業であれば人事諸規則の中に報酬体系の定めがあり勤続年数や役職で給与水準が決まる仕組みなので、同期入社で役職も同じであれば給料もほとんど同じという世界ですが、外銀ではそのような概念は通用しません。給料は交渉で決まるものであり、机を並べている同じタイトルの同僚がいくらもらっているかはわかりませんし、親しくなったとしても給料の話はしないのが常識とされています。ちなみに筆者の最初の転職でも、エージェントを介して最初に提示されたタイトルはアナリストでしたが、まだ転職するということに迷いもあったのでしばらく放っておいたらいつの間にかアソシエイトに変わり、年俸も何百マンか増額改定されていました。。提示する側からしても転職者の実力は未知数なわけですから、できるだけ安く雇いたいと考えるのは当然と思う反面、少しでも高いオファーを得るために面接などで実力以上に盛りに盛ったエピソードばかり披瀝するのも入社後に自分がつらい思いをするだけなので考えものです。結局、実力をきちんと伝えて適切な評価をしてくれる職場を見つけるのがサステナブルと言えそうです。

 

なんだか前置きが大変長くなりましたが表題の「コンプ」はCompensationの略で、エージェントとの会話で頻出するでしょう。ベースサラリーやボーナス、場合によっては住宅手当その他を総称した報酬を意味します。企業や資産価値のValuationをする際の競合事例を示す「コンプ」もありますがこちらはComparable(s)の略なので混同しないように。次回以降に続きます。。